トップページ > お知らせ > ANZIAM2017, MBSIG2017, MISG2017 派遣報告



お知らせ

ANZIAM2017, MBSIG2017, MISG2017 派遣報告

2017年2月5日から9日まで、The Adelaide Hills Convention Centre(オーストラリア、ハーンドルフ)にてオーストラリア・ニュージーランドの応用数理学会であるAustralia New Zealand Industrial and Applied Mathematics (ANZIAM)の年会ANZIAM2017が,また引き続き10日にアデレード大学(オーストラリア、アデレード)でANZIAMの数理生物学分科会の研究集会MBSIG2017が開催され、数理学府の学生7名が参加しました。また2月13日から17日まで、南オーストラリア大学(オーストラリア、アデレード)にてMathematics in Study Group 2017(MISG)が開催され、数理学府の学生3名が参加しました。MISGにはIMIより松江要助教(IMI / I2CNER 兼務)が参加しました。各々の学生が海外の参加者との積極的な討論を経て課題に対する一定の成果を出し、最終報告会にてその一部が紹介されるなど、スタディグループの成功に大きく貢献しました。

  ANZIAM2017: http://www.maths.adelaide.edu.au/anziam2017/
  MISG2017: http://mathsinindustry.com/2017/misg-2017/

なお、IMIオーストラリア分室の活動の一環として、ANZIAM2017において梶原健司教授らのコーディネートで日本応用数理学会とANZIAMの交流が企画され、20件の講演が日本からの講演または日豪共同研究としてフィーチャーする形で紹介されました。また、会期中に日本応用数理学会とオーストラリア数学会(ANZIAMの親学会)との間で相互連携協定が締結され、日豪の応用数学・産業数学コミュニティの本格的な交流の第一歩となりました。

今回の派遣については、九州大学リーディングプログラム「キーテクノロジーを牽引する数学博士養成プログラム」と「IMIオセアニア展開準備事業」の支援により行ったことを付記します。

以下、学生の参加報告を掲載します。
 
矢野陽大(数理学府修士課程1年)
今回の ANZIAM では自律走行するロボットにおける単細胞生物の数理モデリングの発表を行った。英語での 20 分の発表は初めてだったこともあり練習はしっかりとして本番に臨んだが、質問を受けたり、発表後に内容に対して話をしているともっと英語の学習が今後必要だと感じた。実際に発表ではアデレード大学の教員の方が興味深く聴いてくださった。その中では現在単細胞生物を円形容器の中でしか数値計算していないが、楕円型や多角形の容器の中ではどのように動くのかを質問していただいた。楕円容器の中でも実験では楕円容器を記憶した動きをしていることがわかっているので現在のモデルを修正し、他の形の容器にも対応できるようなモデルを考えていきたい。ルンバの動きに用いていくことが目的だが、テトラヒメナが空間を記憶する際に壁際を這って進む動きがうまく再現できていない。ルンバ自体にその動きをすることは困難なのでそのロボットの動きにあった空間記憶のモデルを考えていきたい。また、今回の数理モデルに関してどこが記憶の能力を持っているのかと言う質問をいただいた。自分が発表している中では数理モデルに関しては記憶現象を再現するというところが重要なところであったが、簡単な説明しか行っていなかった。次回はそれぞれの数値が何を表しているのかをもっと明確に聞いている側に伝えていかなければいけないと感じた。


山田智史(数理学府修士課程1年)
ANZIAM2017 と MBSIG2017 に参加した。ANZIAM2017 では、自分の研究内容について発表をした(口頭発表約15分・質疑応答約5分)。その際に、研究内容に対する議論をしたり、アドバイスを頂いたりすることができた。発表、質疑応答が全て英語で行われたため、実践的な英語の勉強になり、また今後も英語を学びたいというモチベーションになった。他の発表者の研究内容を聞くことで、自分の研究と似た分野、異なる分野の様々な知識を得ることができた。特に、自分の研究内容に近い血管の研究内容を聞くことができ、有用な情報を収集できたので、今後の自分の研究に非常に役立つと思う。
MBSIG2017 では数理生物に関する様々な研究発表を聞き、多くの知識を得ることができた。この研究集会はアデレード大学で行われたので、海外の大学の様子や学生の様子を知ることができて良い刺激を得ることができた。
初の海外での発表だったので、どうすればスライドが伝わりやすくなるか、数学の言葉を英語でどのようにいうかなど、事前のスライドや原稿の準備などでもとても勉強になった。研究集会に参加することで、様々な経験をすることができ、多くの刺激を受けた。今後も今回学んだことを活かして研究をしていきたいと思った。


吉峰瑠星(数理学府修士課程1年)
ANZIAM2017 に参加した。そこでは、口頭での発表(発表時間 15 分・質疑応答時間 5 分)を行なった。質疑応答も含め、全てを英語で発表することは初めてだったのでとてもいい経験になった。発表はある程度まとめることができていたと思うが、質疑応答は予期せぬものがきて臨機応変な対応ができなかった。自分の発表以外の時間は、海外の講演者の発表を聞いた。自分が普段扱っている微分方程式だけでなく、ボロノイ図を使った動物の行動に関するモデルや統計の手法を用いた植物の遺伝子操作の話など、幅広い応用の手法を知ることができた。加えてここでは生物系の話だけではなく、工学系や行動心理学のような講演も聞くことができた。普段は触れることの少ない分野の数学の話を聞くことができたのはとても有意義であった。また、講演だけでなく、休憩時間などでも現地の学生や先生と交流し、生の英語に触れることができた。ヒアリング、スピーキング共に自分の英語力の無さが浮き彫りになったので、これから英語の勉強をする上でのモチベーションとなった。
MBSIG では生物系の研究の講演を聞いた。進化の遺伝子や蚊が媒介する病気の伝染など、ミクロな世界の話が特に印象に残った。自分の研究室でも粘菌やテトラヒメナというようなミクロなものを扱っているので、数理モデルの作成の仕方などとても参考になるものが多かった。
今回の二つの学会で見聞きしたことを踏まえ、今後の研究に活かしていきたいと思う。


朴炯基(数理学府修士課程1年・リーディングプログラム生)
Firstly, I participated in ANZIAM 2017. This was my first oral presentation in English. The title of my presentation was「Explicit Formulas for Area-preserving Deformation of plane curves in the Equicentroaffine Geometry」. Simply put, I presented about relation between the Korteweg-de Vries equation and area-preserving dynamics of curve in the equicentroaffine geometry. In addition, as a main result, I presented about discretization and an explicit formula of this dynamics of curve. After that, I was asked three questions : 1) About method of discretization. 2) About relation between soliton equations and dynamics of curves. 3) About properties of the equicentroaffine geometry. I think I replied to these questions as much as I can. But, and then I felt that I was questioned about only basic parts of my research. So, I thought that I had better prepare my presentation more simply to explain only result and background. Nextly, I participated in MBSIG 2017 and I listened some talks. In particular, the research about analysis of mosquito was interesting me. It was amazing me that this also can be researched mathematically. Finally, I participated in MISG 2017. There were four groups in this study group workshop and I choose the company TTG : Analysis of train lateness. In this group, we discussed about reasons of train lateness and solutions of that. So, I observed all of time table of train, and screened some interesting points : Uniformly delay or Uniformly early. In addition, I figured out causes of them by researching google map with Tatsuya Yamaguchi who is a member of leading program. Also, our work is introduced in the final briefing session of MISG by inserting our ppt file. I learned about method of collaboration from this conference.


李ミンサップ(数理学府修士課程2年・リーディングプログラム生)
海外の学会へ参加し、英語で自分の研究結果を発表することができて大変貴重な経験をした。特に、今回の発表は自分の発表内容で重要な役割をする Navier-Stokes 方程式をその専門家の前で発表し、質問にうまく対応できたところがよかった。
次に、リーディング生の義務の海外ショートステイとしてもある程度成果が得られた。話の全部を聞き取れるわけではないが、会話は成立し、質疑応答も問題なくできたことより、英語を通したコミュニケーションにおいて自信をもつことができた。
また、様々なモデリング及び理論の講演があって、興味のある分野の講演を聞くこともできた。今回は自分の研究に直接的に繋がる内容はなかったと思われるが生命現象の解析に対する熱意とトレンドが確認できた。特に、血管の圧力に対して常微分方程式を用いた解析の結果、ウィルスを用いてがん細胞を攻撃する治療方法のシミュレーションなどは自分の既存研究の別方向の延長線にある結果だと思われる。現在は別の問題に取り組んでいるので手をつけることは無理だと思われるが大変興味深かった。
海外への適応可能性の確認、英語のコミュニケーション能力の確認、応用数学のトレンドの確認など、博士課程を含んで、これからのために必要となる項目の確認ができ、今後の計画を立てる準備が出来た。


江田智尊(数理学府博士後期課程1年・リーディングプログラム生)
本研究集会では数学・統計学を用いた応用研究事例が数多く発表された。統計関連のセッションでは、病気の伝染に関するモデリングや予測といった話題が多数を占めていた。それらは古典的な統計学の手法を適用するだけでなく、データの特性に応じた発展的なデータ解析を行っていた。そのため今後は、現代の複雑なデータに対するモデリング手法を理解することが不可欠であると感じた。
自身の発表に関する質疑応答では、高次元データ解析についての質問があり、その後議論を行った。遺伝子データは小標本高次元データであるため、統計的に不安定な解が得られることが多い。そのことを踏まえて、データ解析手法を工夫することや、ブートストラップといった推定量自体を評価する手法が有効であることを議論した。
本研究の今後の方針としては上述の点を考慮して、より安定的な遺伝子データ解析を行うつもりである。本研究では推定精度の高い遺伝子ネットワークを推定することが研究目標の達成に大いに繋がるため、工夫して提案手法を改善する予定である。


畠山優太(数理学府博士後期課程1年)
MISG2017 で DSTgroup に提示された問題の内容は、『空気中を通過する飛翔物の運動方程式についての考察』であり、例えばピストルから撃ち出された銃弾の飛翔がこれに当たる。理論的には、銃弾の飛翔はよく知られている運動方程式からdrag forceと呼ばれる抵抗力を引いた新しい運動方程式に従う。drag forceは銃弾の重さ、断面積、速さに加え、大気の密度、さらにはdrag cofficient(以下、Cdと書く)と呼ばれる関数によって決定される。先行研究では、Cd は 7 つのパラメータからなる関数で与えられているが、定義において物理学的理論の要素はない。私たちはパラメータを3つにまで減らした新しい Cd について、水平方向と垂直方向の 2 次元分の運動方程式のプログラミングを行い、実験データとの比較、考察を行なった(プログラミングについては IMI の松江要助教授が行なった)。得られた結果として、実験データとプログラミングの結果はほぼ一致したが、打ち出す角度によっては飛距離などに無視できない差が現れた。この理由として、実際の銃弾には、運動方程式だけでなく流体力学の要素が必要とされるのではないか、ということや、3つのパラメータからなる Cd の定義の根拠に理論的なものがないことが挙げられる。この成果をスライドにしてDSTgroup に提供した。MISG2017 では海外の研究者たちとの交流以外にも、私の専門分野以外の知見(流体力学、統計、最適化など)を得ることができた。質問や議論など、話し合い自体は私自身積極的に行なったつもりであったが、英語力不足のために不自由することが多々あった。もし来年MISG に再び参加することが出来るのであれば、次はグループ代表の一人として最終プレゼンテーションで発表することを目標として望みたい。


山口達也(数理学府博士後期課程2年・リーディングプログラム生)
本出張ではこれまでの海外出張と比較して、より円滑で積極的に研究者・学生らとの議論が行えたと感じる。これは海外ソフトランディング及び海外インターンシップの成果であると感じている。
(ANZIAM) 生物が行なっていると期待できる周波数分類の仕組みについて、位相振動子を使って構築したモデルについて発表した。本発表には指導教官の手老先生とも親交がある西浦教授(東北大学)が参加してくださり、発表後はモデルに関する議論と最近の研究についてお話しすることができた。Thomas Jungling 教授(The Univeristy of Western Australia)には発表内容について大変興味を持っていただき、発表後にモデルの詳細について議論した。
(MBSIG) 蚊が媒介する感染症に関して、蚊の繁殖に注目した研究は興味深かった。また、DNAの解析や遺伝子組み換えに関する数理モデルはこれまで考える機会がなかったため、研究の視野を広げることができた。
(MISG) イギリスの鉄道 Great Western Railway で取得したデータに基づいて、列車の遅延がいつ、どこで起こるか、どのようにすればダイヤ通りの運行が実現できるかについて考えた。私は各駅間でどの程度の遅延が生じたかのグラフを作成し、一様に遅延が発生する区間や、一様に到着が早まる区間を発見した。その区間の地形状態を Google Mapで確認すると、前者の区間では線路の合流・分岐があること、後者の区間では長い下り坂になっていることを発見した。


 
※ 写真を掲載しました.クリックすると大きな写真が表示されます.