トップページ > 入学志望の皆様 > 数学小景 > 目良貢 マツダ株式会社

数学小景

数論と計算機のコラボレーション 目良 貢 九州大学大学院数理学府・若山研究室 学振特別研究員-DC2

僕の研究テーマ(の一つ)は、
『完備リーマン・ゼータ関数のq類似の零点に関する研究』というものです。
そう言われても、今この記事を読まれている高校生の皆さんや全く専門外の方にとっては、おそらく

・完備?
・リーマン・ゼータ関数?(定義は、という“複素関数”です。)
・q類似?
・零点?(これは単に、関数の値が0となるような点のことです。)

という感じで、もはや何のことだかさっぱりだと思われても仕方がないでしょう。これらのキーワードをちゃんと理解するためには、大学で出会う純粋数学、特に“解析的整数論”と呼ばれる分野を学ぶ必要があります。けれども、いかにも難しそうだなと最初から身構える必要は全くありませんので、安心して下さい。ここでは細かいことは述べませんが、実際のところ、

自然数の累乗の和
収束・発散する無限級数
指数関数
素数(2,3,5,7,11,...)

といった、高校数学の範囲で十分お馴染みのキーワードが、上で挙げたキーワードを理解していく上での出発点となります。

さて、以下に紹介する動画例(使用ソフトウェア:MATLAB)は、当研究を通して最近得られた数値計算結果を示しています。深い数学の中でこういうものが自分の手で作り出せるようになるんだと思うと、何かワクワクしてきませんか?

(※画像をクリックすると動画が再生されます。動画の再生にはQuickTime Playerが必要です。)

専門的になってしまいますが、簡単に説明しますと、いずれの動画も各フレームでは、“q類似”に関係するパラメータq(0<q<1)の値(およそ1万点)を縦軸に取り、横軸に“完備リーマン・ゼータ関数のq類似”(通称:qゼータ関数)に相当する無限級数(二重級数)の絶対値を、近似誤差が未満となるよう高精度に見積もりながらプロットしています。そして、このqゼータ関数に付随する独立変数の値(複素数)を虚軸方向に適当なステップ幅を置いて変化させると、こうしたユニークな挙動が見られます。

ところで、これらの動画を作るに至ったそもそもの背景には、数学上の未解決問題の一つである“リーマン予想”と呼ばれるものがあります。リーマン・ゼータ関数の自明でない零点の分布に関する予想であり、解決されないまま2009年現在で150年目を迎えているという、とても難解とされる大予想です。上で挙げた動画では、特に 動画1がこの予想と直接リンクしてきます。実は、動画1を含め幾つかの考察を踏まえると、リーマン予想と同値な命題を“q類似”という観点から構築することができます。

この記事を読んでもらって、よく分からずとも何となく「面白そうだな」と感じてもらえれば幸いですし、そういう気持ちがあれば、大学に入って数学の真の面白さを存分に味わってもらえるだろうと思います。“ものを数える”という算術の基本から広がる“数論が魅せる理論の世界”。そして、上で見た動画のように、計算機を通して初めて見えてくる“数学の隠れた不思議な世界”。皆さんも体感してみませんか?