くりこみ群の考え方(厳密でない解説)
九州確率論セミナー
開催期間
2025.1.31(金)
16:30 ~ 18:00
16:30 ~ 18:00
場所
ウエスト1号館 D-725
講演者
原 隆 (九州大学)
概要
くりこみ群(renormalization group)
の考え方は,他自由度の統計力学系(特に相転移や臨界現象),またそれを用いての場の量子論の構成などの解析に非常に有用であり,解析が成功する場合には,かなり明快な描像を与えてくれる.しかし一方で,その厳密な解析は非常に煩雑で,正直,気が遠くなるような計算量が必要になることも多い.そのためか,「くりこみ群」という言葉はよく知られるようになったものの,実際の解析が敬遠されることも多いように思う.
一方で,この10年くらい,「構成的場の理論」や「相転移や臨界現象の厳密な解析」が確率論の世界でも注目され,非常に「自然」な方法で未解決問題が解決されることが多くなってきた.ここで,「くりこみ群」の考え方をもう一度振り返るのも悪いことではないだろう.
このような観点から,この講演では「くりこみ群」の基礎的な考え方と期待される描像を解説する.ただし,すでに述べたように,厳密な解析は膨大かつ複雑なものになるので,厳密な解析にはほとんど触れず,描像の解説に重点を置く.時折,1980年代の構成的場の理論と厳密統計力学の問題意識に触れられるかもしれない.
(すでに確率論の方々には常識になっていることばかりの可能性もあるので,あまり期待せずにご参加いただければ幸いです.)