過渡的多様体上の有理型関数の値分布について
九州確率論セミナー
開催期間
2025.6.20(金)
16:30 ~ 18:00
16:30 ~ 18:00
場所
W1-D-725
講演者
厚地 淳(慶應義塾大学)
概要
ブラウン運動の大域的挙動を用いて関数論の研究を行うことは古くからおこなわれています。
特に、再帰性・過渡性はそのようなものとして、劣調和関数のリュービル型定理などよく知られた性質を導きます。
連結なリーマン多様体上のブラウン運動は過渡的か再帰的いずれかになるので、この性質は多様体の大域的性質と言ってもよいでしょう。
ケーラー多様体上のブラウン運動が過渡的である場合に、無限遠が正則という性質を考え、これが満たされる場合は、
有理型関数のネヴァンリンナ理論の定理が古典的な場合を踏襲した形式で比較的単純に与えられることがわかります。
本講演ではこれを基本的な確率論的手法を用いて導くことができることについて述べたいと思います。