Riesz transform for Dirichlet spaces tamed by signed measured curvature lower bounds
開催期間
16:30 ~ 18:00
場所
講演者
概要
この講演は大分大学の江崎翔太氏、福岡大学の徐梓健氏との共同研究に基づく。
曲率の下限概念を許容する測度距離空間の研究の進展にともない、carre-du-champ
作用素を許容する準正則なディリクレ形式でBakry-Emery
型の曲率下限条件を超関数形式で与えたものをErbar—Rigoni—Sturm—Tamanini (2022)
は制御されたディリクレ空間(tamed Dirichlet space)と呼び、その解析的かつ幾何学的構造を詳しく調べた。一方で
Braun (2024) は AMS Memoirs において, tamed Dirichlet spaceでのBakry-Emery
型曲率下限条件を符号値測度形式で考え、非滑微分幾何的なベクトル解析が, Gigli
(2018)によるRCD-空間での非滑微分幾何的なベクトル解析と同様に展開できることを明らかにした。Gigli
(2018)の枠組みではWiener 空間などの重要な無限次元空間は例として入ってこないがBraun
(2024) による定式化では入ってくる。この講演ではBraun (2024)
の枠組みにおいて正位数あるいは零位数のリース作用素のL^p-有界性に関する結果を報告する。そのためにはMalliavin
解析の基礎づけで導入された関数への
Littlewood—Paley—Stein型不等式だけではなく、非滑微分幾何的に定式化される(Dirichlet
spaceによる) cotangent module (余接加群)の元としての1-形式に対する Littlewood—Paley—Stein
型不等式が必要になる。なお、Braun の定式化においても古典的な意味で空間のcotangent
bundle (余接束)が定義されているわけではないことに注意を要する。