半空間における圧縮性Navier-Stokes方程式の解の長時間漸近挙動について
解析セミナー
開催期間
2025.7.11(金)
15:30 ~ 17:00
15:30 ~ 17:00
場所
W1-C-504 小講義室
講演者
中里 亮介(信州大学)
概要
要旨:
本講演では多次元半空間$\mathbb{R}^d_+$ $(d \ge 3)$における圧縮性Navier-Stokes方程式に対し, 粘着境界条件の下での解の長時間挙動について考察する. 全空間$\mathbb{R}^d$の場合は, 川島-松村-西田 (1979)とHoff-Zumbrun (1995)により, $L^2$の位相において, 解の非線形部分は$O(t^{-d/4-1/2})$の減衰レートを持つことが示された. 一方で半空間$\mathbb{R}^d_+$かつ粘着境界条件の場合は, 解の非線形部分の$L^2$ノルムの減衰評価について, 全空間の場合と異なる$O(t^{-d/4-1/4})$の減衰レートを持つことが隠居-小林 (2002, 2005)によって示されている. そこで本講演では, 時間大域解の長時間漸近挙動について考察し, 特に隠居-沖田 (2017)で導出された全空間の場合の漸近形や, 藤垣-宮川 (2001)で導出された半空間かつ粘着境界条件下での非圧縮性Navier-Stokes方程式の解の漸近形とは本質的に異なる挙動が非線形部分より現れることについて報告する. 本講演の内容は沖田匡聡氏 (久留米高専), 隠居良行氏 (東京科学大学), 小林孝行氏 (大阪大学)との共同研究に基づく.