医薬品開発における生存時間解析 -比例ハザード性の観点から-
産業数理統計セミナー
開催期間
2023.11.10(金)
15:00 ~ 16:00
15:00 ~ 16:00
場所
C512中講義室
講演者
今村 拓未 (塩野義製薬株式会社 解析センター 統計解析グループ)
概要
アブストラクト:医薬品開発において,被験薬の有効性を評価する際にしばしば生存時間解析が用いられる.生存時間解析とは,ある起点から特定のイベント(例えば, 死亡や寛解など)が発現するまでの時間データを対象とする解析である.生存時間解析に限った話ではないが,有効性の評価時には仮説検定の結果(p値,及び統計学的に有意か否か)だけでなく,対照薬と比較した被験薬の効果の大きさを示すことが重要である.生存時間解析における治療効果の要約指標として,Cox比例ハザードモデルから推定されたハザード比が慣例的に用いられる.しかしながら,Cox比例ハザードモデルでは比例ハザード性と呼ばれる条件を仮定しており,この仮定が成立しない場合には推定結果の解釈を困難にする恐れがある.本講演では,比例ハザード性の観点から生存時間データ/解析手法を紹介すると共に,近年,ハザード比に代わる要約指標の1つとして普及してきたRestricted Mean Survival Time (RMST) を始めとした,比例ハザード性が成立しない状況でも機能する解析手法について紹介する.