公開講座

現代数学入門
九州大学大学院数理学研究院とマス・フォア・インダストリ研究所 は、福岡県教育委員会の後援を得て、高校生を含む市民の皆様に楽しい数学の心をお伝えするため、毎年講座を開講しています。
2025年度の公開講座
概要8月7日(木) 10:30~12:30, 13:30~15:30
公開鍵暗号と数学
講師: 池松 泰彦 (マス・フォア・インダストリ研究所 准教授)
8月8日(金) 10:30~12:30, 13:30~15:30
$\sin(𝜃) + \sin(2𝜃) + \sin(3𝜃) + ⋯ + \cos(𝜃) + \cos(2𝜃) + \cos(3𝜃) + ⋯$ からわかること$(→ \infty )$
講師: 坂本 祥太 (数理学研究院 准教授)
開催日時
2025年 8月8日(金) 10時30分 ~ 12時30分, 13時30分 ~ 15時30分
両日とも、午前午後の4時間を通して1つのテーマについての講演です。
会場
Zoomウェビナーを用いたハイブリッド形式
受講料
定員
お申込み
締切:現地参加は2025年8月1日(金)まで
お問い合わせ先
後援
公開鍵暗号と数学(8月7日)
講師: 池松 泰彦(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 准教授)
二つの整数$𝑝, 𝑞$ の掛け算は、たとえある程度大きな値であっても、紙と鉛筆を使えば手計算で求めることができます(たとえば$𝑝 = 14331, 𝑞 = 15927$ など)。しかし逆に、ある整数$𝑁$ を素数の積に分解する、つまり素因数分解することは、$𝑁$ が少し大きくなるだけで非常に困難になります(たとえば$𝑁 = 13493$ など)。このように「掛け算は簡単だが、逆の操作(素因数分解)は難しい」といった数学的な非対称性を利用した技術のひとつが、公開鍵暗号RSA です。RSA は現代の情報化社会の安全性を支える重要な技術として広く使われています。実はこのような「一方向の計算は簡単だが、逆方向は非常に困難」とされる性質を持った数学問題は、他にもいくつも存在し、現在も活発に研究が行われています。本公開講座では、こうした数学問題の具体例を取り上げ、それらを基盤とする公開鍵暗号について紹介する予定です。
$\sin(𝜃) + \sin(2𝜃) + \sin(3𝜃) + ⋯ + \cos(𝜃) + \cos(2𝜃) + \cos(3𝜃) + ⋯$ からわかること$(→ \infty )$(8月8日)
講師:坂本 祥太(九州大学 大学院数理学研究院 准教授)
高校生の皆さんは数I で三角比、数II で三角関数を学ぶと思いますが、これは現代の解析学において非常に重要な役割を担います。講義ではその理由の一端である、行儀の多少悪い関数もたくさんの三角関数を足し合わせて表すことができるというフーリエ級数のお話をします。この事実が重要であることは、理論自身の応用範囲の広範さと、この理論の厳密化のために解析学自身が大いに発展したという事情があります。講義前半はそれらのお話をして、後半ではそれが現代の解析学、特に講師の専門である偏微分方程式論においてどのように活躍しているかを解説します。
過去の公開講座
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2024年度
概要 -
2023年度
概要ひと筆書きの散歩道(鍛冶静雄)
講義録場合の数とべき級数(斎藤新悟)
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2022年度
概要基本群入門(蔦谷 充伸)
データを集めて分析する(佃 康司)
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2021年度
概要 -
2020年度
新型コロナウィルス感染拡大により中止
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2019年度
概要 -
2018年度
概要回転成層流体の数理(髙田 了)
超平面配置の数学(阿部 拓郎)
講義録 -
2017年度
概要オイラー数と幾何学とトポロジー(笹平 裕史)
同期現象の数理(千葉 逸人)
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2016年度
概要統計的モデリングの数理(増田 弘毅)
格子の最短ベクトル問題と暗号応用(安田 雅哉)
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2015年度
概要マトロイドと離散最適化(神山 直之)
ラマヌジャンの最後の手紙(樋上 和弘)
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2014年度
結び目の数学 --結び目をつくる、結び目をほどく(高田 敏恵)
非可換性と無限次元(増田 俊彦)
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2013年度
単細胞のかしこさ(手老 篤史)
アーベル多様体と数論(田口 雄一郎)
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2012年度
剰余類で遊ぶ --オイラーの定理とその応用--(佐藤 榮一)
誤りを訂正する数学(平岡 裕章)
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2011年度
シャボン玉はなぜ丸いか --曲面の変分問題と自然現象--(小磯 深幸)
真空の力を生む素数たち --ゼータを通した無限の計算(若山 正人)