「小松・レヴナー発展」研究の発展
開催期間
2023.11.16(木)
17:25 ~ 18:10
17:25 ~ 18:10
場所
IMIオーディトリアム(D-413)
講演者
村山 拓也(九州大学数理学研究院)
概要
函数論で有名なBieberbach予想(de Brangesの定理)は,単位円板上の単葉函数のTaylor係数に非常に強い制約を主張する.この予想に対するある種の変分法的なアプローチが,Loewnerの微分方程式である.この方程式は,包含で単調な平面領域族(に付随する等角写像族)の時間発展を記述する一般的な枠組みを与えていて,現代では方々に応用される.例えば,統計物理の文脈で現れるランダム平面曲線は,1次元Brown運動で駆動されるLoewner型方程式で記述され,Schramm-Loewner evolution略してSLEと呼ばれている.一方,1950年に小松はLoewner方程式を有限連結領域(穴が有限個開いた領域)へと拡張した.彼の結果は「眠って」いたが,2000年以降SLEの爆発的な成功を受け,小松の方程式によってSLEを有限連結領域へと拡張することが試みられた.本講演では,講演者の過去の結果も交えて,上述したような研究動向について概説する.