B_2型の二次元多重配置の指数,及び対数的ベクトル場のなす加群の基底について
多項式数学セミナー
開催期間
2023.11.28(火)
13:30 ~ 14:30
13:30 ~ 14:30
場所
W1-C715
講演者
前原 将太 (九州大学大学院マス・フォア・イノベーション連係学府)
概要
ベクトル空間中の超平面の有限個からなる集合を超平面配置と呼ぶが,さらに超平面配置の拡張として,多重配置という概念がある.多重配置に対して,超平面配置のときと同様にして対数的ベクトル場のなす加群という代数的な対象(次数付き加群)が考えられている.この加群が自由加群か否かによって自由性という性質が定義されており,特に,自由なときは斉次な基底が取れ,その次数の組という形で指数という概念がwell-definedに定義される.
代数的に定義された超平面配置の自由性が組合せ論的に決まるか,というのは解決すべき大きな問題の一つであるが,超平面配置の自由性は多重配置の指数と関係していることが分かっており,この意味で多重配置の研究は重要な意味を持つと考えられる.しかし,多重配置の指数に関しては,二次元の場合に関してさえ解決していない事も多い.
本講演では,多重配置の定義と二次元多重配置に関するいくつかの定理を簡単に紹介した後に,現在分かっていないもののうち,ある意味で最も簡単な例であるB_2型の配置について,いくつかの場合に対数的ベクトル場の加群の基底を明示的に与え,それによっていくつかの指数が決定される事を簡単な証明を交えて示す.
本講演の主定理は,北海道大学の沼田泰英氏との共同研究である.