測度の集中現象に基づいた測度距離空間の収束理論
開催期間
2023.12.21(木)
16:30 ~ 17:15
16:30 ~ 17:15
場所
IMIオーディトリアム(D-413)
講演者
数川 大輔 (九大・数理)
概要
概要:リーマン幾何学において,リーマン計量の摂動や変形により,空間がどう変化するかを調べることは
基本的な問題である.この問題は「空間の間の距離」の概念により,1つの固定された多様体上の問題を越え,
多様体の変形・収束の理論を創出した.その際,リーマン多様体列の極限空間には滑らかとは限らない
(測度)距離空間が自然に現れ,より広い空間の枠組みでの幾何学や収束理論へと発展を遂げている.
一方で,測度の集中現象とは,測度論の文脈で発見された「高次元空間における測度の偏り現象」である.
Gromovは測度の集中現象に基づいた空間の収束を与える測度距離空間の間の距離を導入し,独自の
収束理論を展開した.この距離は次元が無限大に発散する空間列に対しても良い収束性をもち,空間列の
高次元挙動を捉えることに適している.本講演では,空間の収束理論を測度の集中現象を中心に幅広く解説し,
次元が無限大に発散する空間列に関する講演者の結果もご紹介したい.