エネルギー交差における状態の半古典漸近挙動について
数理物理セミナー
開催期間
2024.6.20(木)
16:30 ~ 18:00
16:30 ~ 18:00
場所
W1-C715 中セミナー室
講演者
樋口 健太 (愛媛大学)
概要
第3回数理物理セミナー
アブストラクト:行列値関数を表象とする半古典擬微分作用素のスペクトル・散乱問題は,断熱遷移問題や多原子分子の散乱問題など物理学におけるさまざまな問題を記述するモデルとして研究されている.半古典擬微分作用素は十分小さな値をとるパラメータ(半古典パラメータ)を含む積分作用素であり,半古典パラメータはモデルによってプランク定数や時間のスケールなどに対応する.この行列値関数の固有値の多重度が定数の場合,対応するスペクトル・散乱問題は半古典極限において適当な意味で対角化される.一方,多重度が変化する場合(エネルギー交差)は,行列値であることの効果が多くの場合より顕著になる.本講演では,エネルギー交差の近傍における解の半古典漸近挙動の解析手法を紹介する.また,この漸近挙動から導かれる結果についても述べる.内容の一部はMarouane Assal氏(サンティアゴ・デ・チレ大)と藤家雪朗氏(立命館大),渡部拓也氏(立命館大),Vincent Louatron氏(立命館大)と平良晃一氏(九州大)のそれぞれとの共同研究に基づく.