Concentration of measure related to Generalized Normal Distribution
開催期間
16:30 ~ 18:00
場所
講演者
概要
測度論に基づく確率解析学や測度距離幾何学, 特に測度集中現象, Gromovのピラミッドなどはそれぞれ広く研究されている.一方, それぞれの内容をもう一方に応用する研究は多くない. 上述のGromovのピラミッドの概念は測度集中現象に基づき,その研究は確率論的に言えば「確率変数列の漸近挙動に基づいた測度距離幾何学」と言える.この意味で, ピラミッドの研究は確率解析学への応用が期待できる分野であると考えている.本講演では, 測度距離幾何学において従来得られていた仮想的無限次元ガウス空間に関連する結果に対する一般化を考える.
具体的には,従来$\ell^2$距離に対する無限次元空間を考えていた部分を一般の$\ell^{\beta}$距離に取り換えた場合の現象の変化について述べる.この研究・拡張のモチベーションは, 従来得られていた$\ell^2$距離に関連した結果,特に仮想的無限次元ガウス空間に関連する結果の背後には中心極限定理があるのか, また別の何かがあるのか定かではない状況が(少なくとも講演者には)見受けられた事にある. 今回の拡張により,$\ell^{\beta}$距離を対象とした極限挙動として得られる仮想的無限次元空間にはガウス空間とは異なる空間が現れうることが示され,Gromovのピラミッドとしての極限には中心極限定理以外の何か別の背景がある可能性が示唆された.本講演では, 測度距離幾何学の概念, 従来の結果を紹介した後, それらの拡張の結果を広く紹介することを目標とする.また, その拡張の一部の結果についてエルゴード理論との関連を述べる. 本講演は, 数川大輔氏(九州大学),三石史人氏(福岡大学)との共同研究, また,伊縫寛治氏(同志社大学)との共同研究に基づいた内容である.