分野別セミナー

同一空間上に定義された二つの独立な同一分布を持つ確率過程を考える．これらがある時刻で同じ点に存在するとき，二つの確率過程は衝突するという．本研究の究極的目標は確率過程の衝突に関する一般論を展開することである．

我々は確率過程のクラスとして測度付き抵抗距離空間上に自然に定まる確率過程たちを考える．このクラスには1次元拡散過程やシェルピンスキー・ガスケットなどの低次元フラクタル上の確率過程などが含まれており，低次元空間特有の現象である衝突を研究する上で適切なクラスである．本講演ではまず，与えられた時刻までに空間のどの領域でどれくらい衝突が起きたかを記述する衝突測度という概念を導入する．その後，測度付き抵抗距離空間が収束し確率過程たちの補正された1-レゾルベント核が一様有界ならば，対応する衝突測度が収束することを示す．