マルコフ連鎖モンテカルロ法のための準乱数とベイズ統計
統計科学セミナー
開催期間
2025.3.7(金)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
W1-C-501 大講義室
講演者
原瀬 晋 (立命館大学理工学部)
概要
マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を用いた期待値計算を考える。このとき、乱数によるモンテカルロ計算は収束が非常に遅いため、より高い一様性を有する準乱数に置き換えて高速化を図る準モンテカルロ法を適用したい。しかるに、通常の準乱数はMCMC法にそのまま適用することが出来ない。Owen-Tribble(2005)及びChen-Dick-Owen(2011)は、CUD列と呼ばれる点列を用いると、MCMC法による期待値計算に適用できること(一致性)を理論的に示した。ここで、CUD列の定義は構成的でない。そのため、短い周期の擬似乱数発生法を用意し、一周期使い切った際に現れる格子構造を利用して、CUD列の近似点列として実装する方法が提案されている。
最近、発表者は、この実装方法の枠組みで、準モンテカルロ法の一様性の指標であるt-値が最適化された準乱数を作成した。その設計に際し、2次元のt-値は有限体上の有理関数の正則連分数展開と密接に関係があり、連分数を用いて準乱数のパラメータ探索を行った。本講演では、この準乱数の概要、並びに、ベイズ統計学の数値計算への応用例を紹介する。