尤度なし時系列統計解析
統計科学セミナー
開催期間
2025.3.28(金)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
W1-C-501 大講義室
講演者
豊田 祥史(九州大学 大学院システム情報科学研究院)
概要
アブストラクト:
通常の統計的推測は、与えられた統計モデルの陽な表示を利用して行われる。しかし、複雑なシミュレータ内部のパラメータ推論を行う際、シミュレータを尤度と見なして統計的推測を適用しようとすると、尤度の解析的表示が困難であり、従来の統計的推測が難しくなる。このような問題設定に特有の統計的推論法を構築する試みとして、2000年頃から尤度なし統計推論という方法論が発展してきた。その中心的な手法である Approximated Bayesian Computation(ABC)は、黎明期から広く研究されてきたが、高次元のシミュレーションに適用すると性能が劣化するという課題があった。
この高次元問題への対応を目指し、深層生成モデルを事後分布の推定器およびサンプラーと見なす新たな尤度なし推論の枠組みが、2010年代後半から発展している。私は、この近代的な尤度なし推論が, 分布を直接推定するという性質を持つことに着目し、従来困難とされていた時系列性を活用した尤度なし推論、言うなれば「尤度なし時系列統計解析」の構築を試みている。本発表では、この試みに関する私の最近の結果を報告する。