リーマンゼータ関数の零点の対相関、単純零点と臨界零点の割合
開催期間
16:30 ~ 17:30
場所
講演者
概要
日時:2025年04月24日(木)
16:00〜16:30 ティータイム(談話室,ウエスト1号館C棟5階 C-515号室)
16:30〜17:30 講演(オーディトリアム,ウエスト1号館D棟4階 D-413)
講師:アデ イルマ スリアジャヤ (九州大学数理学研究院)
題目:リーマンゼータ関数の零点の対相関、単純零点と臨界零点の割合
概要:H.L. Montgomery
(1973)はリーマン予想の仮定の下で、リーマンゼータ関数の二つの非自明な零点からなる組みの分布を調べるための関数Fを考察し、その漸近挙動を限られた範囲において明らかにした。このことはMontgomeryの定理としてある程度知られ、Montgomery
(1973)はそれを用いてリーマンゼータ関数の零点の2/3以上が単純零点であることを示した。Montgomeryは更に、このF関数に対して更に広い範囲における漸近挙動を予想し、それを用いてよく耳にする「Montgomeryのペアコリレーション予想」を定式化した。このペアコリレーション(対相関)予想においても、Montgomery定理においても、リーマン予想の仮定の下でしか研究されなかったが、私とSiegfred
Alan C. Baluyot(イースト・カロライナ大学)、Daniel Alan
Goldston(サンノゼ州立大学)とCaroline L.
Turnage-Butterbaugh(カールトン・カレッジ)の共同研究で、リーマン予想の仮定が外せることがわかった。我々の初期の研究により、リーマン予想より弱い条件の下でMontgomeryのペアコリレーション手法で得られた単純零点の割合が再現できるだけではなく、そのほとんどの実部が1/2である、即ちリーマン予想を満たすことも明らかになった。この研究に引き続き、Daniel
Goldston(サンノゼ州立大学)、Junghun Lee(全南大学校)とJordan
Schettler(サンノゼ州立大学)の共同研究で、Montgomeryのペアコリレーション予想もリーマン予想が全く要らないことを明らかにした。その結果、リーマンゼータ関数のほとんど(漸近的に100%)の零点が単純であり、実部が1/2である(リーマン予想を満たす)ことが導けた。前者はリーマン予想の下でP.X.
GallagherとJ.H. Mueller
(1978)により得られたが、リーマン予想を仮定されたせいで、ペアコリレーション予想のリーマンゼータ関数の非自明な零点の横分布への影響が見られなかった。ペアコリレーション予想はリーマンゼータ関数の非自明な零点の縱分布に関する主張であるため、それが「漸近的リーマン予想」を果たすことが面白い現象であると考え、これらの結果を紹介したい。