グループ構造を有するデータのための変数融合型ベイズスパースモデリング
統計科学セミナー
開催期間
2026.1.9(金)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
W1-C-502 大講義室
講演者
書川 侑子(総合研究大学院大学 先端学術院)
概要
アブストラクト:
空間的・時間的依存性を伴うデータの解析において,説明変数の回帰係数は隣接関係に応じた自然なグループ構造を持つと考えられる.この構造を捉えるためベイズ的な変数融合手法が主に線形回帰に対し研究されてきたが,より一般的な枠組みやモデル選択を含む基盤は未整備である.そこで本発表では,変数融合型ベイズスパースモデリングの包括的な枠組みを提案する.まず,二値データを対象とし,ラプラス分布とその弱点を克服した馬蹄事前分布を変数融合に用いた Bayesian fused lasso 型ロジスティック回帰モデルを構築する.また,Pólya–Gamma 分布によるデータ拡大法と事前分布の階層表現を用い,ギブスサンプラーによる推定を実現する.さらに,地理空間データの解析を念頭に,Bayesian generalized fused lasso に基づく空間変動係数 (SVC) モデルの選択を考える.しかし,よく知られた WAIC には事前分布の複雑度を反映するバイアス補正項がなく,主に事前分布のクラスが異なるモデルの比較において問題が生じる.これを解決した手法に事前分布強調型情報量規準(PIIC)がある.そこで,正則化項が O(n) の場合の Generalized fused lasso 推定量の漸近的性質に基づき,Bayesian generalized fused lasso に基づく SVC モデルに対して PIIC を拡張する.提案手法の有効性は,数値実験および実データ解析を通して検証する.