パーシステントライフタイム画像を用いた肺がん患者の遺伝子変異の識別
開催期間
15:00 ~ 16:00
場所
講演者
概要
肺がんの上皮成長因子受容体(EGFR:epidermal growth factor receptor)変異の腫瘍内の不均一な分布を捉えることができる非侵襲的な検査手法が必要である.従来のパーシステントホモロジー特徴量は,パーシステントライフタイム(PLT:persistent lifetime)の頻度分布を定量化するが,PLTの空間分布に関する情報は積極的に活用されて来なかった.そこで我々は,PLT画像が,EGFR変異に対応する腫瘍の画像特性をトポロジカル構造(連結成分と穴成分)の位置とPLTとして視覚化できるという仮説を立てた.本研究の目的は,非小細胞肺がん(NSCLC:non-small cell lung cancer)患者におけるEGFR変異の有無を識別するため,PLT画像を用いたトポロジカルレディオゲノミクス識別法を開発することである.PLT画像は,CT(computed tomography)画像の連続的な閾値処理によって得られた二値画像系列について,トポロジカル構造の位置及びPLTを視覚化するために新たに開発された.本研究では,4カ国の医療機関から得られた治療前造影CT画像を有するNSCLC患者226症例(EGFR変異陽性94症例,陰性132症例)を用い,予測モデルのトレーニングおよび内部検証を行った.2次元(2D)および3次元(3D)PLT画像は,EGFR変異陽性腫瘍に特異的な画像特徴(気管支透亮像,空洞像,すりガラス影など)を抽出できると仮定した.2D-PLT,3D-PLT,および従来画像のレディオゲノミクス特徴量から選択された重要特徴量を用いて,EGFR変異を予測する7つの機械学習分類モデルを構築した.4分割交差検証テストにおける識別モデルの受信者動作特性曲線下面積(AUC)の平均値と標準偏差のうち,2D-PLT特徴量は0.927 ± 0.08で最大AUCと最小標準偏差を示した.PLT特徴量は、NSCLC患者におけるEGFR変異の有無を識別するための画像バイオマーカーとして使用できる可能性がある.