ランダムな初期状態をもつ無限粒子箱玉系とPitmanの定理
開催期間
2018.10.11(木)
16:30 ~ 17:30
16:30 ~ 17:30
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 4階 IMIオーディトリアム (W1-D-413)
講演者
佐々田 槙子 (東大数理)
概要
箱玉系は1990年に高橋-薩摩によって導入されたソリトン的なふるまいを示すセルオートマトンである。その後、箱玉系はKdV方程式や可解格子模型と密接に関係していることが明らかになり、様々な方向からの研究が行われ、また多くの拡張モデルも提案されてきた。箱玉系は有限個の粒子の1次元格子点上の配置に対する決定論的な力学系として定式化できる。本研究では、箱玉系の状態空間をシンプルランダムウォークのパスの空間に変換することで、無限個の粒子を持つ箱玉系について様々な解析を行った。まず、箱玉系の時間発展が定義される配置を決定し、さらに系が可逆になるクラス、さらに可逆かつ不変になるクラスの決定を行った。また、確率測度が不変分布になるための十分条件を与え、ベルヌーイ直積分布を含むいくつかのクラスの確率測度がこの条件を満たすことを示した。さらに、原点での粒子の流れ(カレント)、tagged particleの長時間挙動についても、いくつかの不変分布の元で解析を行った。さらに、シンプルランダムウォークに対する極限定理によって自然に現れる「実数上の箱玉系」を導入し、正のドリフト付きのブラウン運動がこの箱玉系の不変分布となることを示した。本研究はDavid Croydon氏、加藤毅氏、辻本諭氏との共同研究である。