組合せ論的相互律とオイラー標数
開催期間
2017.12.7(木)
16:30 ~ 17:30
16:30 ~ 17:30
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 4階 IMIオーディトリアム (W1-D-413)
講演者
吉永 正彦 (北海道大学)
概要
数え上げ組合せ論において「組み合わせ論的相互律」と呼ばれる現象が知られている.これはある数え上げ問題の数え上げ関数に,負の整数を代入すると別の数え上げ問題の数え上げ関数が得られるという現象で,多面体上の格子点の数え上げに関する,Ehrhart相互律などが有名な例である.組合せ論的相互律において,数え上げ関数に代入する自然数は,多くの場合有限集合の位数に由来しており,「負の整数を代入する」という行為には本来意味はない.他方,位相空間(特に半代数的集合)のオイラー標数を有限集合の位数の一般化とみなすことで,「負の集合」を現実のものとして扱おうというアイデアが古くからある.今回の講演では,「負の集合」のアイデアを使って,組み合わせ論的相互律を幾何的に解釈・一般化する最近の仕事(長谷部高広氏、宮谷俊典氏との共同研究)を紹介する.具体的には「半代数的順序集合」という概念を定式化し,順序集合の間の射の数え上げに関するStanleyの相互律を,有限順序集合から半代数的順序集合への射のなす空間のオイラー標数の関係式へと一般化する.