新たな滑らかな写像の持ち上げについて
トポロジー金曜セミナー
開催期間
2018.11.30(金)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 小講義室 W1-C-514
講演者
北澤 直樹 (九州大学)
概要
滑らかな写像の特異点論と、その多様体の幾何学への応用で、与えられた滑らかな写像の「持ち上げ」が存在するかどうかは重要な問題である : ユークリッド空間への滑らかな写像の持ち上げとは、元の写像の値域より次元の高い空間への滑らかな写像で、自然な射影との合成が元の写像になるようなものである。
例えば、基本的で重要な事実として、各平面曲線について、持ち上げとして結び目が取れる。このような持ち上げの存在に関する問題は、Haefliger らにより始められ、1980年代までに Levine や Saito らによりいくつか結果がもたらされた。その後1990--2010 年代に、滑らかな写像の特異点論の微分位相幾何学への応用についての研究が急速に発展し、新たにいくつかの問題や結果が、佐伯氏、山本氏、高瀬氏、加えて西岡氏らによって考えられもたらされた。これらの研究で、3 次元以下の多様体上のジェネリックな関数や平面への写像、スペシャルジェネリック写像という、球面を位相的に特徴づける Morse 関数の最も単純な一般化等の、はめ込みや埋め込みへの持ち上げが構成された。
講演者は、いくつかの新しい滑らかな写像のクラスについて、持ち上げの存在に関する問題を考え解いた。講演では、これら問題や解答、そして多様体の微分位相幾何学における具体的な意味を述べる。