Drinfeld加群の双対性とP進Drinfeld保型形式
代数学セミナー
開催期間
2018.3.6(火)
15:00 ~ 16:00
15:00 ~ 16:00
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中講義室 W1-C-512
講演者
服部 新 (九大数理)
概要
pを素数,qをp巾,A=F_q[t]を有限体F_q上の一変数多項式環,kをAの商体,PをAのモニック既約多項式とする.Drinfeld保型形式とは,k上のDrinfeld上半平面におけるある種のリジッド解析関数であり,楕円保型形式の関数体類似と見なせる.p進楕円保型形式の理論は1970年代以降高度に発展し,肥田族や固有値曲線を初めとする固有形式のp進族の理論に結実した.一方で,Drinfeld保型形式に対してもそれに匹敵する深度を持つP進理論の存在が期待されており,数値計算による証拠も蓄積されてきているが,研究の進展にはまだ多くの障害があり,その全容は明らかになっていない.
代数体上の保型形式のp進理論においては,有限局所自由群スキームのHodge-Tate写像が重要な役割を果たす.本講演では,有限v加群と呼ばれるクラスの有限局所自由群スキームに対する田口双対性を用いてHodge-Tate写像の関数体類似(Hodge-Tate-田口写像)を定義し,それを用いてP進Drinfeld保型形式の幾何的な理論を展開する.応用として,Fourier展開の高次合同を持つDrinfeld保型形式の重さの間に高次合同が存在することなどを示す.また,時間が許せば,過収束Drinfeld保型形式への応用についての今後の展望も述べる.