円分体の相対類数の行列式公式の値の大きさの特異性について
代数学セミナー
開催期間
2018.2.16(金)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中講義室 W1-C-512
講演者
谷口 哲也 (金沢工業大学)
概要
円分体の相対類数の行列式公式としてDemjanenko 行列,Maillet行列などが知られている.これらの行列式の値は係数をランダムに生成して配置した行列式に比べ極端に大きい.例えば p=101 円分体では,相対類数公式の行列式値は,平均から4.7標準偏差ほど大きな位置にある.また「Hadamard行列がまだ見つかっていない716次行列」に対応するDemjanenko行列式の値も極めて大きく,その値はHadamardの上限の約96.8%の大きさである.この「行列式の値が大きい」という現象は,実験計画法などの実学的な応用につながると講演者は考えている.(実験計画法では実験効率を上げるために,±1 成分の行列で行列式値が大きなものが利用される).本講演ではこれまでに行った数値実験結果を報告する.例えば,行列式の値の分布,固有値の分布,±1成分のDemjanenko行列から得られる球面上の点の配置に関する数値実験結果および,「ランダムに係数を生成した行列」「Demjanenko行列」「Hadamard行列」を,距離行列と対応付けて比較した結果などである.時間が許せば他の行列のよる相対類数公式でも同様の現象が起こっていることも報告したい