自明なトーラスの被覆の形をした曲面結び目のカンドルコサイクル不変量
トポロジー金曜セミナー
開催期間
2011.1.14(金)
14:30 ~ 15:30
14:30 ~ 15:30
場所
伊都キャンパス 伊都図書館3階 小講義室 1 (入口は数理棟3F)
講演者
中村 伊南沙(京都大学数理解析研究所、GCOE特定研究員)
概要
任意の向きづけられた曲面結び目は、ある曲面ブレイドの閉包の形で表すことができることが知られている。言い換えると、任意の向きづけられた曲面結び目は、自明な球面の分岐被覆の形で表すことができる。これは Alexanderの定理の2次元版である。 講演者は上記の事実の一種のアナロジーとして、自明な球面の代わりに自明なトーラスを考えることによって構成される、曲面結び目の新たな構成法を導入し、そうして構成される曲面結び目をトーラス被覆結び目(torus-covering link)と名づけて研究している。トーラス被覆結び目とは、自明な球面の分岐被覆の形で表すことができる曲面結び目である。トーラス型のトーラス被覆結び目は2つの可換な1次元のブレイドから一意に定まる。 この講演では、トーラス被覆結び目のカンドルコサイクル不変量について紹介する。次数mのブレイド b と $\Delta^{2n}$ から定まるトーラス型のトーラス被覆結び目のカンドルコサイクル不変量は、1次元の結び目であるbの閉包のカンドルコサイクル不変量と整数nによって表されることを示す。ここで、$\Delta$ は half-twist である。この定理の系として、(-)もろて型でない無限個のトーラス型曲面結び目の例が得られる。