リーマンゼータ関数の縦線上の数列における値の分布
開催期間
15:30 ~ 17:00
場所
講演者
概要
C. R. Putnam (1954) はリーマンゼータ関数 $¥zeta(s)$ の臨界線 $¥Re(s)=1/2$ 上における零点の列が無限に続く等差数列を含まないことを示した。我々はこの結果に興味を持ち、$¥zeta(s)$ の零点だけではなく、他の値の列、更により一般に $¥zeta(s)$ の値からなる任意の集合に拡張し、また、臨界線に限らず、臨界領域 $0<¥Re(s)<1$ 内に調べることを目指していた。臨界線に対して良い結果が得られなかったが、臨界線を除いた臨界領域内の縦の直線においては、Putnam の結果に類似した、より一般の設定の下での結果が得られた。また、等差数列は最もシンプルな規則正しい数列であることから、$¥zeta(s)$ は臨界領域内における激しい振る舞いも改めて解釈できた。
さて、我々は臨界領域内の等差数列上で考えているが、等差数列がどの程度で $¥zeta(s)$ の値の分布を特徴付けているかの問題に迫る。A. Reich (1982) は通常ディリクレ級数 $F(s) = ¥sum_{n¥geq1} a(n)n^{-s}$ が、絶対収束範囲内にある $¥Re(s)=x$ に対して、縦線 $x+it$ 、$t¥in¥mathbb{R}$ 上の値全体が、閉包の意味で、適切な $h¥neq0$ に対して、その線 $¥Re(s)=x$ 上の等差数列 $¥{x+ihn¥}_{n¥in¥mathbb{N}}$ における値に特徴付けられることを示した。そこで、一直線上において、$¥zeta(s)$ の等差数列における値は重複しないかという疑問が自然に思い浮かび、$¥zeta(s)$ の縦の等差数列における単射性を調べたい。この場合においても閉包を取らない限り一般的には成り立たないと期待するが、絶対収束軸 $¥Re(s)=1$ から``十分"に離れていれば成立できることを示した。臨界領域の右半分 $1/2<¥Re(s)<1$ においては、$¥zeta(s)$ の普遍性を用い、特殊な離散的数列に対して $¥zeta(s)$ が値を共有しないことを、明らかにした。
この度、これらの結果及びその詳細を報告したい。この研究は Junghun Lee 氏(元名古屋大学、現在兵役中)、Athanasios Sourmelidis 氏(ヴュルツブルク大学)と Jörn Steuding 氏(ヴュルツブルク大学)との共同研究である。