脳画像データにおける従属性とその解析方法
統計科学セミナー
開催期間
2019.2.15(金)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中セミナー室 W1-D-710
講演者
川口 淳 (佐賀大学大学院医学系研究所)
概要
脳画像データは,脳の形態や機能を三次元空間で解剖学的に意味づけされた上で表現できるために,疾患の早期発見や病態解明に役に立っている.脳画像データは,脳の立体構造を三次元空間に配置されたボクセルという多数の立方体で区切った上で,ボクセル単位で数値(ボクセル値)が記録され,この値を解析ではデータとして扱う.こうして,近隣のボクセル値は従属性をもつために,個人の脳画像内で空間的な相関が生じる.さらには,複数測定(マルチモダリティや経時測定)として個人でも複数得られる脳画像やfunctional MRIに代表される時系列脳画像では画像間もしくは時間的な相関が生じる.
本発表では,このような従属性をもったデータ解析方法を紹介する.従属するデータを扱うアプローチの一つとして,従属性を示す変数は要約させる次元縮小アプローチが挙げられる.上記のように脳画像データの従属性である空間的または時系列的なもの,またはデータの相関値(標本相関)が高い事が考えられる.それに応じた要約の方法として,基底展開法や成分法に基づいた方法,さらには複数測定にも対応したマルチブロック法について脳画像解析にどのように応用するかを述べる.