量子系の統計推測 ~ 量子コンピュータの実現を支える新たな統計学
統計科学セミナー
開催期間
2018.11.30(金)
00:00 ~ 17:00
00:00 ~ 17:00
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中セミナー室 W1-D-710
講演者
田中 冬彦 (大阪大学)
概要
量子系の統計推測では, 従来の統計学で既に確立している理論結果を拡張する多くの研究成果が得られてきた. その一方で, 実験技術の進歩により, 実験での応用を前提とした統計手法の研究も急速に進んでいる.
本講演の前半では, 量子コンピュータの実証実験をとりあげ, そこでどのような統計手法のニーズがあるのか説明する. 量子コンピュータの優位性ではなく, (物理を専門としない研究者向けに)実際の実験データの取り扱いと統計手法に焦点を当てて説明する. これらは量子系の統計推測の理論研究を進める強い動機づけとなる.
本講演の後半では, 量子論・量子情報と推測統計との考え方の差異について触れ, 統計学の視点に沿った研究成果の幾つかを紹介する. 具体的には, 射影測定の漸近的許容性, 量子ビット系の無情報事前分布, 自己整合量子トモグラフィにおける正則化推定量の一致性といった話題を予定している. なお, 本講演の一部は東京大学先端科学技術研究センターの杉山太香典氏, 広島大学大学院理学研究科の伊森晋平氏との共同研究に基づく.