高次元データに対するスパースでロバストなグラフィカルモデリング
統計科学セミナー
開催期間
2015.11.12(木)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中セミナー室 W1-D-710
講演者
藤澤 洋徳 (統計数理研究所)
概要
連続値データのグラフィカルモデルを同定する問題を考える.その問題に対処するには幾つかの手法があるが,ここでは,正規分布を仮定して共分散行列の逆行列を推定して,逆行列の成分が0と推定されたときは二つの成分を繋がず,0以外で推定されたときは二つの成分を繋ぐという手法がある.それによってグラフィカルモデルが提案できる.推定値として正確に0が欲しいので,それを実現するためにスパース推定が利用される.そのような手法は既に標準的でありソフトウェアも提供されている.
本研究では,その手法において,外れ値に対して強くなるロバスト化を組み込む.そこでガンマ・ダイバージェンスを利用する.多くのロバスト法は,平均構造の推定には強いが,分散構造の推定には強くない.ガンマ・ダイバージェンスに基づく手法は分散構造の推定に強いので採用すること にした.その場合に問題となるのはパラメータ推定アルゴリズムである.ガンマ・ダイバージェンスを提案した論文では,ピタゴリアン関係に着目して,目的関数が単調減少するパラメータ推定アルゴリズムが提案されている.しかし,ガンマ・ダイバージェンスにスパース罰則を組み入れたとき,そのアイデアはうまく使えない.本研究では,MMアルゴリズムの考えを使って,目的関数が単調に減少するパラメータ推定アルゴリズムを提案する.ロバスト化する手法は幾つか提案されている.数値実験において,提案手法が過去の手法を圧倒していることを紹介する.さらに実データ解析の事 例も紹介する.
なお,本研究は,大阪大学の廣瀬慧先生との共同研究である.
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