カーネル平均を使ったカーネルベイズ推論と無限分解可能過程の交錯に向けて
統計科学セミナー
開催期間
2014.3.17(月)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
九州大学 伊都キャンパス 伊都図書館3階 中セミナー室7
講演者
西山 悠 (統計数理研究所)
概要
確率分布を再生核ヒルベルト空間(RKHS)に特徴写像の平均により写像させたRKHSの元をカーネル平均と呼ぶ.特性的クラスの正定値カーネルを使うとき,確率分布からカーネル平均への写像は単射となる.この性質を使って,確率分布の代わりに確率分布を一意に定めるカーネル平均を推論するアルゴリズムが研究されている.カーネルベイズ推論は,確率分布を推論するベイズ推論を,カーネル平均を推論するベイズ推論にしたものである.周辺分布や事後分布のカーネル平均を推論するKernel Sum Rule (KSR) やKernel Bayes’ Rule (KBR) が提案されている.これらはノンパラメトリックアルゴリズムである.状態空間モデルのフィルタリングでは,隠れ変数の分布や予測分布がカーネル平均により推論される.
正定値カーネルが特性的となるための十分条件には,正定値カーネルの正値関数が対称無限分解可能分布の有界連続な密度関数で与えられることがLévy-Khintchine formula公式から従う.無限分解可能分布のカーネル平均は,共役な正定値カーネルを選んだとき無限分解可能な密度関数になる.安定分布,NIG分布,VG分布,Tempered 安定分布等のカーネル平均を考え,無限分解可能過程分野との交錯を模索できれば幸いである.