Ultraviolet renormalization by a stochastic approach
九州確率論セミナー
開催期間
2012.4.20(金)
16:00 ~ 17:30
16:00 ~ 17:30
場所
九州大学 伊都キャンパス 数理学研究棟 中セミナー室3
講演者
廣島 文生 (九州大学)
概要
講演要旨:
数学的な場の理論のモデルには紫外切断(UVcutoff、エネルギー
の大きいところのカットオフ)と赤外切断(IRcutoff、エネルギー
の小さいところのカットオフ)という2つのカットオフがハミルトニ
アン作用素に導入されている。特にUVcutoffは、取りあえずハミル
トニアンを自己共役作用素として定義するために必要である。
さてカットオフのあるハミルトニアンにくりこみを導入して、ある
種の極限をとってUVcutoffのないハミルトニアンを定義するという
のがカットオフのないハミルトニアンを定義する一般的な処方である。
スカラー場の模型の一つであるネルソン模型では、「自己エネルギー
の第一次近似」をくりこみ項としてハミルトニアンから引き去れば、
上述の処方でUVcutoffのないハミルトニアンが定義できることはす
でに知られてる。
今回の講演では、確率論的な方法でネルソン模型のくりこみをおこ
なってUVcutoffを外す。ネルソンハミルトニアンの作る半群の真空
期待値からペアポテンシャルといわれる2重積分が導かれる。この2
重積分の対角成分を伊藤の公式とGirsanovの定理を使って分離する。
この対角成分がまさに「自己エネルギーの第一次近似」になっている
ことを証明する。これは従来の方法とは全く異なるUVcutoff除去の
方法で、講演でも紹介するが多くの他の模型にも応用出来ると期待し
ている。