Cores of Dirichlet forms related to random matrix theory
開催期間
16:00 ~ 17:30
場所
講演者
概要
講演概要:
講演では、種村秀紀氏(千葉大学)との共著の論文
"Cores of Dirichlet forms related to random matrix theory"
について紹介する。
この仕事は、干渉ブラウン運動を記述するDirichlet形式の定義域に、
配置空間の「多項式空間」が含まれることを示すものである。
ランダム行列に関する干渉ブラウン運動は、時空間相関関数による
「代数的構成」とSDEおよびDirichlet形式による「確率解析的構成」
の2つが知られている。
前者は逆温度$\beta=2$かつ、空間次元が$1$の場合しか適用できないが、
無限次元の干渉をもつ確率力学系であるにもかかわらず、「遷移確率」
の対応物を具体的に書き下し、様々な定量的な情報を与える。
後者は、無限次元確率微分方程式による定性的な情報を与え、応用例と
して、たとえば、各粒子のsemi-martingale性や粒子間の衝突・非衝突
が直ちに判明する。また、2次元以上かつ一般の逆温度¥betaでも可能な、
ロバストな構成方法である。
従って、これらの2つの構成方法が、同一の確率力学を定義しているとい
うことを示すのは、重要な問題である。
今回の結果と、今後発表予定の論文の結果とを合わせると、これら全く
異なる方法によって構成される拡散過程が同一であることが分かる。
また、これらの無限次元確率力学系が、有限粒子系近似の極限となって
いることも分かる。
干渉ブラウン運動のDirichlet形式による構成は、講演者の'96年の論文
に始まる。後に、Roekner氏たちや吉田稔氏によって、強い仮定の下で、
「より狭い」定義域をもつDirichlet形式による構成がなされた。
今回の結果の簡単な系として、これら二つの種類の定義域は同一のもので
あることが分かる。
つまり結果として得られる拡散過程は同じものである。