Apollonian gasket上のLaplacianとそのWeyl型固有値漸近挙動
九州確率論セミナー
開催期間
2016.1.8(金)
16:00 ~ 17:30
16:00 ~ 17:30
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中セミナー室 W1-C-616
講演者
梶野 直孝 (神戸大学)
概要
Abstract:
どの2つも互いに接しているような3円で囲まれた平面内の閉領域(理想3角形)を考えると,最初の3円全てに接する円でこの閉領域内に含まれるものが唯1つ存在することが古代ギリシアのApollonius of Perga以来よく知られている.この内接円の内部を最初の理想3角形から取り除き,残った理想3角形に対しても同様にその内接円の内部を取り除く操作を無限に繰り返したときに最後に残る点全体の集合はApollonian gasketと呼ばれ,その構成から容易に分かるようにいわゆる(普通の)Sierpinski gasketと同相なフラクタル集合である.この集合はある古典的なKlein群の極限集合(の一部)としても自然に現れることが知られており,フラクタル幾何学,力学系,Klein群論等の多様な観点からよく研究されている.
Teplyaevは2004年の論文で,Apollonian gasket上には標準的なエネルギー形式の概念が定義できることを指摘したが,その後これについてのより詳しい解析は何もなされていなかった.本講演では,このエネルギー形式については「計算可能な具体形」を求めることができ,かつこれを適切なL^2-空間上に強局所的正則Dirichlet形式として実現することができ,さらに対応するLaplacianについてWeyl型固有値漸近挙動が成り立つ,という講演者の最近の結果を紹介する.