力学系における微分ガロア理論の新たな応用:ホモクリニック軌道の分岐
力学系セミナー
開催期間
2011.6.10(金)
15:50 ~ 00:00
15:50 ~ 00:00
場所
伊都キャンパス 伊都図書館3階 中セミナー室6
講演者
矢ヶ崎 一幸 (新潟大)
概要
アブストラクト:
微分ガロア理論は,代数方程式に対するガロア理論の微分方程式版とも言う
もので,19 世紀終わり頃のピカールやベシオによる線形微分方程式に対する
仕事に始まり,微分方程式が求積法で解ける(可積分) かどうかということが
論じられる.MoralesとRamisは微分ガロア理論を用いて,一般的なハミルトン
系に対して複素解析的な意味で可積分であるための必要条件,すなわち
非可積分性の十分条件を求めている.本講演では,微分ガロア理論の力学系
における新たな応用として,ホモクリニック軌道の分岐の問題を取りあげる.
得られた結果は,例えば,偏微分方程式系におけるパルスの分岐の問題に
適用可能である.また,必要となる微分ガロア理論およびメルニコフの方法
による結果の概略を与え,具体的な応用例も説明する.さらに,力学系に
関する微分ガロア理論の他の応用や今後の研究の展開についても触れたい.
なお,講演内容はDavid Blazquez-Sanz氏との共同研究に基づいている.