ホモクリニック軌道が生成するレゾナンスの準古典分布
力学系セミナー
開催期間
2011.7.29(金)
15:50 ~ 18:00
15:50 ~ 18:00
場所
伊都キャンパス 伊都図書館3階 中セミナー室6
講演者
藤家 雪朗 (立命館大)
概要
概要:遠方で減衰する実ポテンシャルをもつシュレディンガー作用素を考える。
このとき、正のエネルギーは束縛状態をもたないが、対応する古典力学系が
捕捉された軌道をもつ、いわゆる半束縛状態ならば、そのエネルギーの複素近傍
にレゾナンスが現われると考えられている。レゾナンスはレゾルベントの極、
あるいはシュレディンガー作用素を遠方で複素にスケーリングをしてできた
非自己共役作用素の複素固有値として定義され、その虚部は、対応する半束縛
状態の寿命の逆数にあたる。
捕捉された古典軌道の幾何学的構造と、そのエネルギーの近傍のレゾナンスの
準古典分布(すなわちプランク定数を小さなパラメータと見たときの漸近分布)
の関係を調べる問題は、古典的な固有値の漸近分布の問題の延長上にありながら、
多くの興味深い問題を提供している。
講演では、古典力学系の双曲型不動点のまわりでのシュレディンガー方程式の解
の超局所的挙動について述べる。その応用としてホモクリニック軌道が生成する
レゾナンスの準古典分布について最近得た結果を紹介する。