K3曲面の自己同型群および自己同値群の幾何群論
幾何学セミナー
開催期間
2023.5.19(金)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
W1-D-313, もしくはZoom上
講演者
菊田 康平(大阪大学)
概要
【講演要旨】幾何(学的)群論は群を調べる上で強力な手法を与える.K3曲面の自己同型群は古くから調べられているが,幾何群論的な研究は非常に少ない.2019年にKurnosov-Yasinskyは,K3曲面の自己同型群(および高次元のhyperkahler多様体の自己同型群や双有理自己同型群)がCAT(0)群となることを示した.彼らの結果をもとに,より詳細に「K3曲面の自己同型群はvirtually abelianかacylindrically hyperbolicのいずれかである」というalternativeが成り立つことを示した.前半ではこの結果について述べる. 後半ではK3曲面の導来圏の自己同値群について述べる.自己同値群は自己同型群を自然に含むが,コホモロジー群に自明に作用する自己同値関手が無数に存在する点が,自己同型群との決定的な違いである.そこでホモロジー的ミラー対称性を介して得られる,自己同値群と写像類群の間の類似を観察し,幾何群論的な観点からこれからの展望を概観したい.また自己同値群の双曲性に関しては簡単に分かることがあるので紹介したい.