有限時間特異性:ダイナミクスと数値計算に関する一考察
力学系セミナー
開催期間
2017.6.16(金)
16:00 ~ 17:30
16:00 ~ 17:30
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中セミナー室 W1-C-616
講演者
松江 要(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
概要
微分方程式の初期値問題の適切性を崩す「有限時間特異性」は様々な形で顔を出し、微分方程式およびその力学系の解析・数値計算を困難にする厄介な対象です。
具体的な系において特異的な解が存在するか、「いつ、どこで、どのように」特異性が発現するか、その具体的プロファイルはどのようになっているかは非常に基本的かつ難しい問題となっています。
本講演では、力学系と数値計算の観点から常微分方程式系の有限時間特異性を取り扱います。
「時間スケールの変換」に注目し、不変集合の安定多様体上の軌道として有限時間特異性を特徴付けます。特に爆発解を例にとり、無限遠不変集合の構造に対応する定常爆発・周期爆発に加え、不変集合の解析による爆発レートの導出について、一考察をお話します。特に無限遠における「双曲型不変集合」の安定多様体上の軌道は、爆発解として非常にシンプルに特徴付けられ、精度保証付き数値計算による数値検証も可能となります。
一方、有限時間特異性を特徴付ける無限遠不変集合が非双曲型の場合でも、近傍のダイナミクスを詳細に調べることで、爆発レートなどの漸近挙動を計算できることが期待されます。