non-recurrentでflatな臨界点を持つ区間力学系の大偏差原理とレート関数の零点の構造について
力学系セミナー
開催期間
2017.10.26(木)
15:30 ~ 17:00
15:30 ~ 17:00
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中セミナー室 W1-C-615
講演者
高橋 博樹 (慶応大学)
概要
Chung, Rivera-Letelier and Takahasi の結果 arXiv:1610.00822 によると、全ての臨界点が non-flat で topologically exact なC^{1+\alpha}級区間力学系は大偏差原理を満たす。本講演では non-recurrent で flat な臨界点を持つ unimodal mapを考察し、いくつかの自然な仮定と平坦性のオーダーに関する技術的な仮定の下で大偏差原理が成り立つことを示す。同時に、大偏差レート関数の零点の構造について部分的な記述を与える。さらに、これらの結果を具体的な unimodal map のパラメーター族に適用し、大偏差レート関数の零点について完全な記述を与える。これによると、遷移パラメーターにおいて零点集合の構造が質的に変化する様子が見て取れる。これに類似の現象は Curie-Weiss model や Ising model など統計力学に起源を持つ確率モデルにおいてよく知られているが、力学系理論の文脈ではまだ(あまり)知られていないと思われる。また、零点集合はパラメーターに関し連続に変化することも示す。遷移パラメーター以外での連続性は、tail estimate に関する講演者の以前の結果と statistical stability に関する Freitas and Todd の結果より直ちに従う。遷移パラメーターではLebesgue測度に関し絶対連続な不変確率測度が存在しないため、ここでの連続性を示すには新しい議論が必要となる。(鄭容武氏(広島大学)との共同研究)