調和写像に関する増大度条件付きLiouville型定理
幾何学セミナー
開催期間
2021.10.15(金)
16:30 ~ 17:30
16:30 ~ 17:30
場所
Zoomによるオンライン開催
講演者
國川 慶太(宇都宮大学)
概要
非負リッチ曲率を持つ完備リーマン多様体から, 断面曲率が上に有界な完備リーマン多様体への調和写像を考える. そのような調和写像の像がregular ballに含まれていれば, それは定値写像である. これはChoiによるLiouville型定理として以前から知られている. 「像がregular ballに含まれる」というのは, 像にある種の有界性を課しており, 調和写像の振る舞いに強い制約を与えるものである. 一方, ユークリッド空間から上半球面への非自明な調和写像としてSchoen-Uhlenbeckの例があり, その像はregular ballからはみ出している. 今回の講演では, ChoiによるLiouville型定理の仮定「像がregular ballに含まれる」が, ある種の「増大度条件」へと緩められることを紹介し, さらにその増大度条件がSchoen-Uhlenbeckの例の意味でoptimalであることを解説する. 証明には, Ecker-Huiskenによる極小超曲面の増大度条件付きBernstein型定理のアイデアを用いる. この辺の事情について, 調和写像と極小超曲面を対比させつつ説明したい.
なお, 本講演の内容は櫻井陽平氏(埼玉大)との共同研究の一部に基づいている.