スカラー曲率に関するある幾何学的な量が有界な閉多様体上のリッチフロー
幾何学セミナー
開催期間
2021.12.24(金)
16:30 ~ 17:30
16:30 ~ 17:30
場所
Zoomによるオンライン開催
講演者
濱中 翔太(中央大学)
概要
この講演では,ある有限区間上で定義されたリッチフローで或る幾何学的エネルギーの有界性を満たすものについてお話しします.1982年,Hamiltonはリッチフローを導入すると同時に任意の閉多様体上のリーマン計量を初期計量とするリッチフローの最大解 (つまり,滑らかな解として存在する定義域が最大のもの) が常に存在し,一意であることを示した.そこで次の問題としては,与えられた計量に対して,それを初期計量とするリッチフローの最大存在時間の近くでの挙動がどうなるかというものがある.Hamlitonを始めとする人々の仕事により,様々な幾何学的エネルギーによる最大存在時間の特徴付けがこれまでに知られている.特に,Wangは積分量を用いて表されるエネルギーにより最大存在時間を特徴づけた.更に,Di-Matteoはこの結果を,積分のパラメータをα, β ∈ (1, ∞)という二つでパラメータ付けされたものへと拡張した.
本講演の前半では、Di-Matteoの考えた量のパラメータが(α, β) = (p, ∞) (p > dim(多様体)/2)かつ(∞, 1)に対応する場合のリッチフローの振る舞いについてお話ししたいと思います.また後半で,スカラー曲率が有界である閉リッチフローについてもお話ししたいと思います.