同種写像暗号の数理
暗号学セミナー
開催期間
2021.7.14(水)
16:00 ~ 17:30
16:00 ~ 17:30
場所
Zoomによるオンライン開催
講演者
相川 勇輔(三菱電機株式会社 / JST ACT-X)
概要
現在、主に利用されている公開鍵暗号技術の安全性は素因数分解問題や群の離散 対数問題の計算量的困難性によって保証されている。代表的な量子アルゴリズム の一つであるShorのアルゴリズムはこれらの問題を多項式時間で解くことが理論 的に示されており、従って、量子コンピュータ以後の世界ではこれらの暗号の安 全性はもはや保証されない。
そこで、量子情報社会の到来に備えて、そのような解読にも耐えうる数学問題を 安全性の根拠に据えた暗号、つまり耐量子計算機暗号の研究が現在進められてい る。その候補の一つに同種写像暗号がある。同種写像暗号は「与えられた2つの 楕円曲線に対し、それらの間の同種写像を計算せよ」という問題の計算量的困難 性を安全性の根拠に据えて構成される。したがって、その研究は楕円曲線を取り 巻く数学が本質的に活用される形で著しく進展している。
今回のセミナーでは、暗号に関する知識を仮定せずに、耐量子計算機暗号、特に 同種写像暗号の最新動向および最近の我々の研究について述べる。
(連絡先:縫田 nuida"@"imi.kyushu-u.ac.jp )