曲線と曲面に対する変分問題のいくつかの話題
幾何学セミナー
開催期間
2021.2.10(水)
13:30 ~ 14:30
13:30 ~ 14:30
場所
Zoomによるオンラインセミナー
講演者
奥田 健斗 (九州大学)
概要
本講演では,次の2つの研究成果について発表する.(1) 3次元ユークリッド空間内の回転軸を共有する2つの同じサイズの円で張られる平均曲率一定曲面(CMC曲面)に対する分岐と安定性,(2) クリスタライン変分問題に対するエネルギー極小解の一意性について.まず,(1) について説明する.CMC曲面は「囲む体積を保つ変分に対する面積の臨界点」であり,シャボン膜や微小液滴の数理モデルとして知られている.CMC曲面の解が安定か否か(面積極小か否か)の判定は重要課題であるが,一般には難解である.本講演では,回転軸を共有する2つの同じサイズの円で張られるCMC曲面に対して,楕円積分を用いた複雑な計算や分岐理論を応用して「既知の安定解に近い解」についての安定・不安定の判定を完成させたことを報告する.次に,(2) について説明する.結晶やある種の液晶のように異方性を持つ物質は,エネルギー密度が表面の向きに依存する非等方的エネルギーの「体積一定」の条件下での極小解を形作る.非等方的エネルギーの最小解はウルフ図形と呼ばれる凸図形である.ウルフ図形が平坦な面を持つ時,エネルギー密度関数は微分不可な点を持ち古典的な変分法は使えない.本講演では,ウルフ図形が正多面体である場合にはエネルギー極小解の一意性が成り立つことを報告する.本講演の内容は,九州大学の小磯深幸教授との共同研究で得られたものである.
※ 今回は日時が通常と異なりますので,ご注意下さい.多くの方のご来聴をお待ちしています.