分野別セミナー

本講演では，非等方的エネルギーを用いたcapillary超曲面の安定解の一意性について最近得られた結果を紹介する. 非等方的エネルギーは結晶の持つエネルギーとしてGibbsによって導入された. 今回は2枚の平面からなる楔型領域内に存在し, 楔の辺と超曲面が接触する場合の非等方的capillary超曲面についての安定解に関する研究を行い, 境界についてのある条件の下では相似と平行移動の差を除いてWulff図形と呼ばれる閉凸曲面の一部に限ることを証明した. Wulff図形はG.Wulffによって導入された結晶の数理モデルであり, ある特別な値を体積に持つ閉曲面の中で, 非等方的エネルギーの最小値をとる曲面がWulff図形になることが知られている. 本講演では，非等方的エネルギーとそれに対応した曲面論の基本事項を紹介した後, 今回の研究結果の詳細について説明を行う.