Convex property of Wulff shapes and regularity of their convex integrands
幾何学セミナー
開催期間
2018.11.30(金)
16:00 ~ 17:30
16:00 ~ 17:30
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中講義室 W1-C-513
講演者
照屋 靖志 (九大数理)
概要
材料科学の基礎研究において,結晶の構造を調べることは大変重要である.Gibbs や Curie らによって十分小さい結晶の平衡形は,その結晶の体積を一定にしたままでその非等方的表面エネルギーを最小にする形になる事が知られており,Wulff shapeと呼ばれる凸体と一致する.例えばシャボン玉,塩の結晶の平衡形はそれぞれ,球面,立方体である.Wulff shapeは常に滑らかとは限らず,塩の結晶のように角や真っ直ぐな線分,平らな面(Facet)を持つ場合もある.そこで,「どのような場合に Wulff shape は 線分や平らな面を持つのであろうか?」という自然な問題に対して,2017 年に Han-Nishimura は,Wulff shape が狭義凸である事とその convex integrand(結晶のエネルギー密度)が C1 級である事が同値であることを示した.彼らのグローバルな結果に対して,私はその両者のより詳しい関係性を調べ るために,Wulff shape の 1 つの方向における ”face set”と convex integrand の 1 点での ”derivative direction”を導入し,それらの次元の関係式を各点で考えることで,両者のより詳細な関係を明らかにする定理を導いた.さらにその定理の系として,彼らの結果に対する各点バージョンの定理を導き,またその定理を全ての点で考えることで,Han-Nishimura の結果を復元できることも示した.本講演ではその結果について述べる.