ブラックホール地平面の幾何学
幾何学セミナー
開催期間
2018.2.16(金)
16:00 ~ 17:30
16:00 ~ 17:30
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中講義室 W1-C-513
講演者
棚橋 典大 (九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所)
概要
ブラックホールとは、重力の理論である一般相対性理論の最も基本的な解であると同時に、物理学・天文学への応用においても重要な役割を果たす。本講演では、このブラックホール解と、その表面である事象の地平面の幾何学的側面についてレビューを行う。時空の幾何学たる一般相対論の基礎をまず導入し、この理論における解として得られるブラックホール解とその性質を紹介する。ブラックホールは時空の無限遠から観測されない領域として定義されるため、時空の局所的な情報だけからはその位置や性質が決定されない。この問題を避けるべく、時空の局所的な情報だけから決定でき、かつ事象の地平面と類似の性質を持つ「見かけの地平面」と呼ばれる曲面が定義されている。この見かけの地平面の物理的性質や幾何学的特徴、特に極小曲面との関係を説明する。また、高次元重力理論における事象の地平面と極小曲面との関連について議論を行う。