ある完備リッチ平坦多様体の漸近錐のモジュライ空間について
幾何学セミナー
開催期間
2017.5.19(金)
16:00 ~ 17:30
16:00 ~ 17:30
場所
九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 中講義室 W1-C-513
講演者
服部 広大 (慶応大学理工学部)
概要
非有界な距離空間に対し、その距離関数を正の定数ε倍したものを取り、εをゼロに近づけることによって得られる点付きグロモフ・ハウスドルフ極限を、無限遠における接錐または漸近錐とよぶ。一般の距離空間に対して、漸近錐の存在や一意性は成立しない。しかし、リッチ平坦な完備リーマン多様体の中でも特に良い性質を満たすものについて、存在と一意性が Colding-Minicozzi によって証明されている。本講演では、リッチ平坦な完備リーマン多様体で、一意性が成立しない例を紹介する。さらに一部の例については、漸近錐として現れる距離空間を全て決定することができた。一般に、一つの距離空間の漸近錐として現れる距離空間全体のなすモジュライ空間は位相空間となり、自然に R_+ が作用することが知られている。
上記の例について、モジュライ空間の位相構造と、作用による軌道分解についても説明する。