一般余次元のtranslating solitonについて
幾何学セミナー
開催期間
2014.12.26(金)
16:00 ~ 17:30
16:00 ~ 17:30
場所
九州大学 伊都キャンパス 伊都図書館3階 中セミナー室2
講演者
國川 慶太 (東北大)
概要
Translating solitonは平均曲率流方程式のもとで, 形を変えず一定速度で平行移動していく極めて特殊な解であり, type II特異点のモデルとして知られている. したがって, 平均曲率流の特異点の理解のためには, translating solitonを調べることが有効である.
超曲面の場合の平均曲率流方程式の研究は1984年のHuiskenによる仕事以来盛んに行われてきた. Lagrangian平均曲率流方程式など, 余次元の高い状況での研究の重要性は言うまでもないが, 実際は超曲面の場合に比べて未解明な部分が多い. 特に, 一般余次元のtranslating solitonの幾何学はほとんど知られていない.
本講演では, まず一般余次元において完備で非自明なtranslating solitonを大量に構成できることを説明する. これは超曲面の場合とは著しく異なる状況であり, 余次元が高くなると不複雑さが増すことを象徴している. 続いて, 一般余次元の完備なtranslating solitonがある条件下では1次元のtranslating solitonと極小部分多様体に分解されることを説明する. これはある種の分裂定理である. これらの話題を通して一般余次元の平均曲率流方程式と特異点の分類の研究の一端を紹介したい.
※ このセミナーは【科学研究費補助金 基盤研究(C)課題番号:26520205研究代表者:北畑裕之/研究分担者:
小磯深幸】(日本学術振興会)の援助のもと開催されます.