(2012年度) 第3回組合せ数学セミナー
開催期間
12:55 ~ 17:30
場所
講演者
概要
溝口 佳寛 (九大IMI)
Yoshihiro Mizoguchi (Kyushu University)
Title:Roach型グラフのラプラシアン行列の固有多項式とグラフ分割について
(Graph partitioning and eigen polynomials of Laplacian matrices of Roach-type graphs)
Abstract:
グラフのラプラシアン行列の固有ベクトルはグラフ分割に利用され,その方法はスペクトラル・クラスタリング法と呼ばれ, グラフ表現されたデータの分析等に応用されている. Roach型グラフはスペクトラル・クラスタリング法によりうまく分割出来ない形のグラフとして知られている. このRoach型グラフのラプラシアン行列は三重対角行列に変形できるが, 対角成分の値が全て一定ではなく, その固有多項式の一般形は自明ではない. 今回, いくつかの基本的な形の三重対角行列形について固有多項式の一般形を求め, さらに, Roach型グラフの固有多項式の一般形を求めた. そして, 固有ベクトルの偶奇判定のための固有値の値の評価を行いスペクトラル・クラスタリング法が成功しないRoach型グラフのサイズについて考察を行ったので報告する.
末竹 千博 (大分大)
Chihiro Suetake (Oita University)
Title:半正則自己同型群を持つクラス正則対称横断デザイン
(Class regular symmetric transversal designs with semiregular automorphism groups)
Abstract:
最近, 秋山-斉藤-田中-S によって G =UxPSL(2,7)(Uは位数3の群) を全自己同型群として持つクラス正則 STC7[21:3]D が見つけられた。 この D に対応する一般アダマール行列を H とすると, H は群 U 上の GH(3,7) である。 この D あるいは H を一般的な視点から捉えよという問題を提起する。良く観察すると, G は の点上正則に作用する部分群 K (この K は U を含む。) を含むことがわかる。(しかし, K はブロック上には正則に作用しない。) 一方, 点とブロック上正則に作用する自己同型群を持つクラス正則STD7[21;3]D も秋山-Sによって見つけられている。ところで, λ = 1 の任意の STD1[k;k]は(同型を無視して) 位数 k の射影平面に 一意的に拡大される。translation planes や planar 関数を 使って構成される平面(例えば, Culter-Mathews cartesian group planes)に対応するクラス正則対称横断デザインも点正則自己 同型群を持つ。我々はこれらのSTDも統一的に捉える議論をする。 elation group U を含む点正則自己同型群 K を持つSTDは U上のある程度単純な形をした一般アダマール行列として表現される。 これがアイデアである。なお, より多くのSTDを扱うため点正則を 点半正則という条件に緩めることにする。
籾原 幸二 (熊本大)
Koji Momihara (Kumamoto University)
Title: Inequivalent skew Hadamard difference sets and their applications
Abstract:
有限可換群G上のSkew Hadamard型の差集合に関して, 以下の2つの予想が知られている.
(1) 存在すれば, Gは基本可換群
(2) 基本可換群上のSkew Hadamard型の差集合は平方剰余差集合に同値である.
本講演では, cyclotomicな強正則グラフからSkew Hadamard型の差集合を与える構成法について紹介し, それが予想(2)の反例をいくつか与えることを示します. また, 有限体上のある方程式の根の分布の問題への応用についても話をします.
菊田 俊幸(大阪工大)
Toshiyuki Kikuta (Osaka Institute Of Technology)
Title:Ramanujan型の合同式の多変数化について
(On a generalization of Ramanujan type congruences to the case of several variables)
Abstract:
Ramanujanの合同式としてよく知られているように、重さ12のEisenstein級数と、 Ramanujanのデルタ関数の各Fourier係数が素数691を法として合同になる。 これはEisenstein級数とカスプ形式の間の合同関係の一例である。本講演では、 次数2のSiegelモジュラー群およびHermiteモジュラー群に対するEisenstein級数 と、あるカスプ形式の間に合同関係があることが分かったので報告する。さらに、 この結果の簡単な応用として、k番目の一般Bernoulli数の分子を割る素数があれば、 重さkの非自明なHermiteカスプ形式の存在が分かるということを述べる。 尚、以上の結果は長岡昇勇氏との共同研究によって得られたものである。 時間があれば、その他、多変数モジュラー形式の合同に関する結果を報告したい。
篠原 雅史 (鈴鹿高専)
Masashi Shinohara (Suzuka National College of Technology)
Title:2-distance set の変形とその極小次元
(On a deformation of two-distance sets and its minimal dimension)
Abstract:
単純グラフ(完全グラフ, 空グラフを除く)に対応する 2-距離集合のうち, 極小次元を持つようなものがただ一つ存在する. そのような 2-距離集合を Emb(G) , またその次元を m(G) で表す. このとき G とその補グラフ G について, m(G) + m(G) ≥ n + 1 が成り立っている. 上の不等式の等号を満たす数少ない例として, 完全二部グラフ K(i, j) や完全多部グラフ K(i,i,i,…, i)があるが, 本講演では特に、完全多部グラフ' G = K(i1, i2,…, ik) に対応する極小 2-距離集合 Emb(G) の幾何的な構成を与え, Emb(G) が同一球面上にのるための必要十分条件を与える. (野崎寛氏との共同研究)
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