新たな感染症の流行下における行動変容の統計的解明
産業数理統計セミナー
開催期間
2023.5.12(金)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
C-502大講義室
講演者
加藤 直子 (桜美林大学 グローバルコミュニケーション学群)
概要
コロナ禍のなかで政府や専門家は、一日当たりの新規感染者数や病床のひっ迫度、ワクチン接種に関する情報をさかんに発信した。市民は、それらの情報と自身の状況(高齢者と同居か、一人暮らしか、リモートワークが可能な職業か、ワクチン接種済みか等)とを勘案して感染拡大予防行動をとるか否かを決定し、実際に行動したと考えられる。これらの情報や状況が人々の行動変容にどのように影響を与えているかについては多くの専門家の関心事であるものの、情報と状況の組み合わせは無数にあり、実証が困難である。そこで本研究では、重要と考えらえる要因を8つ抽出し、近似的な解決を図った。8つの要因は、一日あたりの新規感染者数や病床のひっ迫度といった情報やワクチン接種済みかといった個人の状況で構成される。それぞれの要因には、3つないし2つの水準(e.g.感染者数:2000名以下、10000名程度、50000以上;ワクチン:接種済み、未接種)を設定した。これらのすべての要因と水準の全組み合わせに対して、18の組み合わせで同等の効果測定が可能なL18直交計画(田口玄一、1993)による要因実験型調査(コンジョイント法)を適用した。本発表では、2022年2月から3月にかけて同一の調査デザインで実施した日本・英国・台湾における国際比較調査データの統計的分析結果の概要を報告する。