因子分析モデルに対する計算機代数手法の応用
産業数理統計セミナー
開催期間
2023.4.28(金)
16:00 ~ 17:00
16:00 ~ 17:00
場所
C-502大講義室
講演者
深作 亮也 (九州大学大学院 数理学研究院)
概要
計算機代数手法は数理モデルの構造を正確・厳密に描写することが可能な計算手法である. 特に, グレブナー基底や限量子消去といった計算機代数手法は純粋数学・暗号理論・制御系設計などの場でも活用されてきた. 例えば, グレブナー基底は変数多項式環イデアルの剰余環を特徴付ける, 性質の良い, 基底であるが, 多変数多項式連立方程式系を解きやすい等価な方程式系に変形することもできる. また, 限量子消去は与えられた一階述語論理式と等価な限量子なしの論理式を計算する手法であるが, 一階述語論理式の非常に高い記述能力により, 様々な数理モデルのパラメータ制約を正確・厳密に描写することもできる. しかしながら, 計算機代数手法は, 近似計算を行う数値解析手法よりも, 時間やメモリといった計算資源が要求されやすい. 従って, その応用では, 計算機代数が扱いやすい問題に落とし込まないと, 現実的な計算規模に収まらないこともある. 本発表では, 因子分析モデルに対する計算機代数手法の応用について考える. また, 多変数多項式連立方程式系と多変数多項式イデアルの関係をいくつか紹介し, グレブナー基底の重要性について触れたい. そして, グレブナー基底を用いることで算出した因子分析モデルにおける最尤解の候補の計算結果を報告する.